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SATELLITEフェア!vol.2「京都の伝統・職人技法による意匠材」展レポート

お足元の悪い中多くの方がご来場してくださいました。

空間デザイナーのためのコミュニケーションスペース「BAMBOO SATELLITE(サテリテ)」(東京・赤坂)において、2022年4月14日、SATELLITEフェアvol.2「京都の伝統・職人技法による意匠材」展が開催された。
SATELLITEフェアは、空間デザインに関わる様々な製品やサービスが、テーマに沿って集まる1日だけの展示会。今回は、京都の伝統素材を活かした意匠材。京友禅・西陣織・からかみといった京都の伝統、職人技法を活かしたアートファブリック、合わせガラス等を扱う企業4社が集まり、京都ならではの歴史や高い技術力を感じさせる展示を実施。その様子を、出展者の声と共にレポートする。

株式会社丸二 代表 西村和紀さん

「丸二」
江戸時代の後期〜明治時代の「版木(はんぎ)」を300枚近く保有し、それを用いた木版印刷で作られる「唐紙」。そしてその上から漆を吹付けた「漆唐紙」という二つを代表的な商材として扱う「丸二」。古くからの技法を受け継ぐ「丸二」の製品は、一般住宅だけではなく、ホテルや商業施設など、さまざまな空間に導入されている。
同社代表で四代目の西村和紀さんは、「版木は弊社の宝です。その長い歴史があるからこそ、その時代の背景や意味合いが唐紙には含まれているのです。弊社では、そういった作品が持つ歴史的背景も含めてアートとして見せる取り組みをおこなっています。唐紙という素材を知っていただいて、どういったご提案やメリットをご提供できるかを発信するところにも力を入れています」と話してくれた。

株式会社加地織物 「KYOGO」 山口麻衣さん

「KYOGO」
金糸や銀糸を扱った緻密で高度な技術が必要とされる西陣織のブランド「KYOGO」。高級感や品格があるだけではなく、先染めの糸を使うことで新しい色を出すなど、表現が色鮮やかで優美な西陣織がインテリアファブリックとしてホテルや商業施設に広く導入されている。同社の山口麻衣さんは「弊社の製品は、高級感や品格を表現することを得意としています。また『Miwaku』『IBUKI』といったコレクションでは、大きなサイズを一つのアートとして、その世界観を表現しています。見る角度によって表情が変わる立体構造などは、織物だからこそできる強みです」と話す。フェアでは、新しい提案となるソファの張り地や、木の土台に生地を圧着した新商品など、「KYOGO」の新たな取り組みが紹介されていた。

木村染匠 大塚剛士さん

「木村染匠」
長きに渡り着物のデザイン、製造管理を行なっている「木村染匠」。着物で培われた技術やデザイン力を活かし、インテリア向けに着物などを封入した合わせガラスを自社で製作している。同社の大塚剛士さんは「ひとつひとつすべて手作業で作るという精神がいちばんの強み」と語る。「手作業で物を作る会社だからこそ、幅広く様々なご要望に対応することができます。合わせガラスの中に封入する生地も、弊社で厳選し、通常の20〜30倍の時間をかけて納得する仕上がりまで作り上げています」。現在、ホテルのエントランスや、マンション共用部などにも数多く採用されている。熟練の技術や圧倒的な仕上がりの美しさが総集された「木村染匠」の扱う合わせガラスは圧巻で、思わず見入ってしまう設計者も少なくないという。

株式会社三才 「JOTARO SAITO」 斉藤上太郎さん

「JOTARO SAITO」
時代の変化と共に常に進化し続け、来年創業90周年を迎える「JOTARO SAITO」。同社代表の斉藤上太郎さんは「常に新しい事に挑戦し、進化し続けることが弊社の長所であり特徴です」と語る。「古いものや伝統の焼き直しではなく、どういう使い方、扱い方をすれば新しいものが生まれるかを常に考えてものづくりを行っています。昔ながらに続く製品にも良さはありますが、それに甘んじていてはだめで、伝統的なものが身近に無数ある僕らからすれば、それは当たり前の日常なんです。常にアバンギャルドなものを作ってきた京都の気質を継承していくことが弊社の個性です」と話してくれた。「JOTARO SAITO」の展示品には錺金物やファブリックを使った個性的な製品が多数展示されており、施工事例にも「JOTARO SAITO」のものづくりに対する想いが表現されていた。

懇親会前、会場内の様子。

前回の「大川の家具・建具展」に引き続き、多くのデザイナーや建築家などが訪れていた。終盤には懇親会が行われ、商品について語り合い、新しい人や商品との出会いの場が生まれていた。

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