「nana’s green tea」を展開する株式会社七葉は、「抹茶」という切り口から「新しい日本のカタチ」を世界に発信している会社である。良質の抹茶を、抹茶ラテなどの現代的にアレンジしたメニューで提供している。
そして、その店に求められる空間は「和風」ではなく「現代の茶室」である。それは、オーナーの言葉を借りれば“日本に昔からある茶文化を現代的な解釈で楽しめる店”をつくりたいという思いの表れである。
今回は、中国・上海への出店ということで、中国と日本の文化の融合をテーマに設計した。それは、「アジアの茶室」を作る試みである。
中国では、お茶を椅子で座って楽しみ、日本では茶道の発展に伴って、床に座って楽しむ形式が発達した。また、照明器具においても、中国から伝わった提灯が、日本では和紙を使うことによって、提灯と行灯とがそれぞれ異なる進化を遂げた。
中国語では、「灯籠」(タンロン)と呼ばれ、提灯と行灯の両方を含んだ言葉となっている。そこで、中国から伝わった「提灯」と、日本独自の進化を遂げた「行灯」の文化の融合を空間で表現した。実際には、空間に必要な間仕切りを上下で分割し、天井に付随する部分を「提灯」、床に付随する部分を「行灯」に見立てて設計した。(吉田昌弘/文責BAMBOO)
- 「七叶和茶(nana’s green tea)」
- ■オープン:2010年6月21日
- ■所在地:上海市徐汇区肇嘉浜路1111号 美罗城B1楼 五番街
- ■設計:KAMITOPEN 吉田昌弘
- ■床面積:190㎡
- ■客席数:80席
- ■撮影:宮本啓介
- nana’s green tea
- http://www.nanaha.com/
- KAMITOPEN
- http://www.kamitopen.com