杭州・西湖湖畔の三階建ての古民家全体を日本食の飲食店へと改修。観光客の人通りが多い一階路面には、客単価が低く回転数の多いファストフード店を計画した。
天井高の低い古民家であるため、大きく天井を変化させることはできない。また機能要求を満たしていくと、不規則な平面となり外部の観光客を奥まで惹きつける設計も難しいものになっていた。そこで日本の伝統建築でしばしば用いられる、船底天井を応用することにした。緩い勾配をつけることで、低い中にも空間の広がりが感じられる。さらに太めの天井パネルを上下交互に配置し、頂部を奥へと誘うように曲線でつないでいった。天井パネルが壁にぶつかる箇所はそのまま降ろし、壁のデザインとしている。日本では細長い長屋のことを鰻の寝床と呼ぶが、この食堂ではのちに鰻を主商品として売り出すことになり、「鰻の寝床」のような空間デザインと商品が図らずも一致することになった。(堤由匡/堤由匡建築設計工作室)
「松子快餐」
所在地:中国杭州市
オープン:2020年5月
設計:堤由匡建築設計工作室 堤由匡 洪秀秀 罗帅鹏 彭瑶君※ 张斯朗※(※インターン)
照明計画:リュースデザイン 石岡真己子
設備設計:北京東洲斎技術諮詢有限公司 石川星明 竹林克宣 山崎隆司
施工:杭州豊元装飾設計工程有限公司
床面積:73.5㎡
写真:Sensor見聞影像
【内装仕上げ仕様】
床:ホール席/土間コンクリート下地モルタル金ゴテ押さえ 厨房/土間コンクリート防水下地防滑タイル貼り
壁:木下地ヤチダモ化粧合板凹凸貼り モルタル下地タイルt5貼り
天井:客席/木下地木目プリントアルミパネル凹凸貼り 厨房/木下地アルミパネル貼り