自由が丘で長く飲食店の店長をされていたオーナーが、同じ自由が丘にダイナー的要素のメニューを柱とした居酒屋をオープンしたいとご依頼いただきました。ただ、空間としては「ダイナー」と「居酒屋」が相容れなかったため、「海外にオープンする居酒屋」にシフトチェンジしました。立地は、1階で大きな窓があるため、内と外の境界を曖昧にして店内でも外にいるような感覚で楽しめる「パティオ」を目指してデザインをしています。空間コンセプトである「光の大樹」は、大木から無数の枝が広がって小さな実が成り、その1つ1つは小さくてもそれらが光り輝いて大きな賑わいとなり、街に活気を与える存在となるようにとの願いが込められています。大樹は古材風の木板を1枚1枚重ね合わせてオブジェ的に造り込み、「大中小の実」(=LEDペンダント照明)が光輝きながらお客様を店内へと導きます。ファサードサインはステンレス逆チャンネル文字のLED照明でダイナー風を演出。カウンター材も滝澤ベニヤのペーパーウッド(ベニヤとカラーペーパーを何層にも重ねたもの)で「ダイナーのテーブルの縁」をイメージしました。店内のカラーは、アクセントウォール以外は床・壁・天井すべてマゼンタの同一色相とし、明度・彩度違いのカラーリングでまとめています。多彩な造作や色使いが、華やかさと賑わいの演出効果の一助になったかと思います。(アトリエ・ボウ)
「ダイナー居酒屋 PELLME(ペルメ)」
所在地:東京都世田谷区奥沢6-34-1 内海ビルII 1階
オープン:2021年7月
設計:アトリエ・ボウ 高田剛志 高田みほこ
家具:ENLinks 青木 巌
照明:シフト 成松英規(LEDペンダント照明他)
ロゴデザイン:石田 悠
床面積:35.57㎡
客席数:20席
Photo:ナカサ&パートナーズ
【内外装仕様データ】
床:既存モルタル金ゴテ押さえの上着色塗料(アクアカラー ボルドー/アシュフォードジャパン)
壁:既存補修の上EP塗装(つや消し)仕上げ(1357 bottle of bordeaux/ベンジャミンムーア) 一部壁古材風デザイン貼り(アンバーバーン ハーフタイプ AB-1220H/ウッドハート)
天井:スケルトンEP塗装(つや消し)仕上げ(G95-20B 2013年G版/日塗工) 古材枝風デザイン貼り
家具・什器:カウンター天板/ペーパーベニヤCL塗装仕上げ(Paper-Wood serise Ⅳ/滝澤ベニヤ)
アトリエ・ボウ/高田剛志 高田みほこ
建築・空間デザイナー。高田剛志氏はショーケースデザイン等の仕事を経て建築設計事務所へ勤務。その後店舗設計施工会社、アトリエ設計事務所に所属後フリーランスとして活動。2007年にアトリエ・ボウを法人化。夫婦二人三脚で「犬小屋からビルまで」をモットーにクライアントに寄り添う設計デザインを提供する。