小田原海岸沿いに建つ築40年の建物のリノベーション。建築は当初は取り壊し予定だったが、建物の雰囲気とビューに惚れ込んだ現オーナーが買い取り、再スタートを切ることになった。コンセプトは「海と空と陸をつなげる空間」。時間ごとに色調を変える空や海、風情ある建物と海側に立つ松の大木。それらの素の表情をあえて残し、ロケーションの魅力を最大限に引き出すこととした。昼は座敷からの大パノラマのビューを主役に、波の音を静かに堪能できる仕様とし、光に溢れた爽やかで心地よい空間を演出。夜は漆黒の海を月明かりが照らす静寂の風景を眺めることができる。海側の松の大木には僅かなライトアップを纏わせ、店内のライティングも落ち着いた大人の空間となるよう演出した。(市村隆剛/モノグラフ)
「小田原食堂 だん」
所在地:神奈川県小田原市江之浦117
オープン:2021年7月20日
設計:モノグラフ 市村隆剛
床面積:231㎡
客席数:110席
Photo:稲葉 真
【内外装仕様】
床:フローリング貼り
壁:LGS組みPB下地樹脂系仕上材(ジョリパット/アイカ工業)
天井:既存の上簾取り付け
家具:特注ウッドフレームソファ(リーフデザインパーク) ダイニングチェア(オリバー)
照明:基本照明(ユニティ) 特注照明(オールウェイズ)
その他:厨房(マルゼン) のれん(枕の吉川)
市村隆剛/モノグラフ
インテリアデザイナー。1978年北海道生まれ。2004年武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業後、商空間に於けるデザイン業務に携わる。2015年株式会社モノグラフ設立。『空間デザイン×アート』の独自スタイルで飲食、専門店を中心に幅広いデザインを手掛けている。