『珈琲の香り漂う上質な学びと憩いの場』
2021年7月、茨城県立図書館に、都道府県立図書館では稀となる私営のカフェテリア「星乃珈琲店」がオープンしました。茨城県立図書館は、2001年に県庁移転に合わせて旧茨城県議会議事堂の改修を経て開館されており、エントランスを入ると正面階段を中心にシンメトリーな空間が特徴的な建造物です。階段を上がると、旧本議会場へと続く構成となっています。店舗は、茨城県による公開プロポーザル方式の事業者公募を通じ、2020年2月に同社が選定されオープンしました。店舗デザインは、天井高さ15mの1階ロビーの開放性や歴史ある左右対称な空間特性を活かしながら、星乃珈琲店の上質で温かみのあるカフェ空間を融合して設計しています。新たな図書館の顔となるロビーはシックなトーンで統一しながら、壁3面にブロンズミラーを用いることで空間に広がりが感じさせ、さらにアーチ形状の高さ4mの書棚と上部のミラーの連続性が、県立図書館としての威厳をより一層高めています。席の構成は、正面階段に向かって左側にある複数人で食事を楽しめるソファ席、右側には一人でゆっくりと過ごすことのできるブース席や新たな本との出会いを誘発させるガラス天板の大テーブルを配置し、利用者の気分や人数によって席を選択できる楽しみがあります。ロビーの選書は大きく4つに分かれており、幅広い年齢層に人気の高い「雑誌」「新着図書」、茨城の郷土資料を身近に感じられる「茨城の小説」、利用人数の多くを占める中高生・大学生向けの「ティーンズ」が定期的に更新され、いつ訪れても鮮度の高い本が迎えてくれます。
図書館にカフェが併設されることで、読書や勉強の場としてだけではなく、人が集い、交流する場として利用され、茨城県の新たな憩いの場となることを目指しています。(日本レストランシステム、Nowhere-Designs、ambos)
「星乃珈琲店 茨城県立図書館店」
所在地:茨城県水戸市三の丸1-5-38
オープン:2021年7月17日
設計:日本レストランシステム 宮島 忠、Nowhere-Designs 鈴木 弦、ambos 石井一東
床面積:144㎡
客席数:58席
Photo:ナカサ&パートナーズ
【内外装仕様データ】
床:既存大理石の上フローリング貼り(ウォールナット クリアUV塗装/アイオーシー)
壁:既存の上ブロンズミラー貼り 腰壁/メラミン化粧板ハリ(K6542/アイカ工業)
天井:既存利用
家具・什器:大テーブル特殊照明、特注シャンデリア、特殊ブラケット(Alwayslamp)
(左から)
宮島 忠/日本レストランシステム
日本レストランシステム 株式会社 常務取締役
鈴木 弦/Nowhere-Designs
1988年生まれ。東京理科大学大学院修了。設計事務所、ディスプレイ会社を経て、2020年Nowhere-Designs(ノウウェアデザイン)設立
石井一東/ambos
1987年生まれ。名古屋大学工学部を卒業後、建築設計事務所勤務を経て、名城大学理工学研究科建築学専攻修士課程を修了。2015年よりコクヨ株式会社勤務。2020年ambos(アンボス)設立